視覚障害について考える

1)視覚の定義
 形態刺激(色とか形や明るさからなる刺激)を眼球という感覚器から取り込み、それを視路(視神経など)により後頭葉まで伝達し、後頭葉で視性刺激(形態刺激が網膜で電気刺激に変換されている)を解析して、情報を取り出し、その情報を基に脳で創りだされる感覚を、視覚といいます(図1)。この図で眼球・視神経・脳の一部は視路と呼ばれ、眼球から取り込まれた形態刺激の伝達系となっています。一方後頭葉の視覚感覚野以降は、伝達された刺激を解析して情報を取り出す解析系となります。

施設写真

 

2)視覚障害の定義
 視覚障害とは、異常な視覚が起きていることです。視覚が異常となる原因は、上記の視覚が生じる過程で何らかの異常が起これば、それが原因となります。具体的には、眼球・視神経・脳のどれかに異常が生じても、視覚障害は生じます。そしてその位置は、形態刺激の伝達系と解析系の2つに大別できます。図に示すように、視覚障害はこの2つの系の組合せから考えるべきです。解析系の異常が重度のものに、視反応発達遅滞の名を与えてあります。

機器写真

 

3)普及している視覚障害の定義とは
 一般社会で視覚障害というと、視路の異常によるものを想定しており、身体障害者手帳の診断基準も視路の異常の判定に依よっています。中枢性の視覚障害も、視放線(脳の一部)などの視路の異常を指すことが多かったのです。しかし近年眼科学が、認知の分野つまり解析系の解明に関心を向けるに当たり、中枢性の視覚障害は解析系の異常を指すようになってきています。