眼球偏位(中枢性視覚障害)の頻度

では中枢性の視覚障害を持つ患者の頻度はどのくらいあるのでしょうか。

中枢性視覚障害はいろいろな原因で脳での画像の解析処理をして情報を取り出す過程が障害を受けることによって起こります。しかしその原因の多くは、脳の活動の異常によって起こる処理の中断です。この中断のサインが眼球偏位です。昨年2014年筆者が眼科学校医をしている肢体不自由の名古屋特別支援学校で眼球偏位の頻度を調べました。対象は小学部から高等部までの、欠席者11名を除く174名です。彼らの眼球偏位の頻度を、0から3の4つのグループに分類しました。

0: ほとんど眼球偏位を認めずコミュニケーションをとる上で支障は無い
1: 明らかに眼球偏位は存在するが頻度が少ないので大体はコミュニケーションがとれる
2: 眼球偏位が比較的多いが、眼球偏位の無い時がはっきりとある。この時に コミュニケーションとることができれば、発達が期待できる
3: ほとんど眼球偏位の状態で、 コミュニケーションをとることが難しい。

 

肢体不自由の特別支援学校には多くの重症心身障害児(重心児)が通っています。彼らの基礎疾患は 、てんかんなどの脳波異常・精神運動発達・脳性マヒなどです。このような対象の6割に眼球偏位があり、さらに全体の3割はその程度が重いことに注目してください。