小児の眼科的管理を考える

1.正常の視覚発達

赤ちゃんの視覚の発達を、まず大まかに理解しましょう。特に問題のない赤ちゃんで在胎週数が約40週 の標準的な場合、遅くとも頸がすわる前に、親は視線が合うと感じます。その場合、頸がすわっていないから、だっこで観察しようとすると正確に把握できません。ベッドやふとんの上に水平に寝かせて、赤ちゃんの目よりやや下方の位置から観察しましょう。親の顔やおもちゃを見せます。機嫌がよく、ねむたくない時を選んで観察します。日を追うにつれて見ていることがはっきりわかるようになります。頸がすわればだっこしていてもすぐに視線が合うようになります。赤ちゃんの場合、生後まもなくの間は、頭の活動がいつも活発というわけではなく、活発な時とぼんやりしている時が混在しています。成長と共に、だんだん起きている時はぼんやりしている時間が減っていくので、ものを見せた時の反応は、だんだんよくなってきますが、機嫌の良い時を選んで観察してください。反応がよければ安心して大丈夫です。生後まもなくの新生児の視力は0.02から0.05程度ですが、急速に発達曲線を描き、だいたい3歳頃に1.0まで発達します。この間に両眼を正しく使ってものを立体的に見る立体視などの能力も発達します。またこの視覚の発達する時期に、いろいろな原因で正常に視覚が発達しないと、弱視という視覚の発達が不十分な状態になり、放っておくと取り返しのつかない状態になってしまうので、赤ちゃんや子供の様子を親が注意深く観察をして、適切な対応をしなければなりません。


2.眼科受診の時期


 観察していて、なにか気になる時はいつでも可です。なるべく早く異常があればそれを解決するのが鉄則です。理想から言えば生まれてまもなく眼球に先天異常があるかどうかのチェックをするのがベストです。眼科以外に異常がある場合は、眼科や耳鼻科のスクリーニングは必ず必要です。次は生後6ヶ月頃になると眼球運動が完成しますので、斜視や眼球運動のチェックを受けるのがベストです。現在公的な眼科の検診は1才半と3才の時にあります。特に異常を感じていなくても、これらは必ず受けてください。これ以前に気になることがあれば、いつでも気楽に受診してください。